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物理の概念

薄いレンズの公式:実像と虚像の計算例

2026年10月14日読了まで2分
薄いレンズの公式:実像と虚像の計算例

凸レンズの前に物体を置き、少しずつレンズへ近づけます。ある位置では反対側にスクリーンを置くと鮮明な像が映ります。焦点距離より近くへ移すと、スクリーンには像が映らなくなります。しかしレンズをのぞくと、物体は大きく見えることがあります。薄いレンズの公式は、光線が実際に交わる側と、交わるように見える側を符号で区別すれば、どちらも表せます。

計算は短いものです。多くのミスはその前に起きます。図を描かない、虚像なのに像距離を正にする、倍率の符号を大きさだと思う、といったものです。最初から最後まで1つの明確な符号の取り決めを使い、すべての答えを光線の図で確かめます。

符号を決める前にレンズを描く

水平な主軸を描き、レンズを縦線で示します。物体を左に置きます。以下では光は左から右へ進みます。レンズから両側へ距離 ∣f∣|f| のところに焦点を記します。この簡単な図に、計算後の像の位置を示せます。

凸レンズでは、物体の上端から主軸に平行に進む光線は、レンズの先で反対側の焦点へ向かいます。レンズの中心を通る光線は、薄いレンズのモデルではほぼまっすぐ進みます。出ていく光線が交わる位置が実像です。出ていく光線が広がるなら、破線で後ろへ延長します。その延長線が交わる位置が虚像です。そこに実際の出射光が集まるわけではありません。凹レンズでは、平行に入る光線が近い側の焦点から出てきたように広がります。

これらは理想化した光線です。実際のレンズには厚みがあり、像は薄いレンズや近軸近似からずれる場合があります。ここでの式と図は、主軸に近く、角度が小さい光線を仮定します。OpenStaxの薄いレンズの節に、式、光線の作図、ここで使う符号の取り決めがあります。

公式と1つの符号の取り決め

dod_o をレンズから物体まで、did_i を像までの距離、ff を焦点距離とすると、

1f=1do+1di.\frac{1}{f}=\frac{1}{d_o}+\frac{1}{d_i}.

です。3つの距離は同じ単位を使います。すべてセンチメートルでも、すべてメートルでもかまいません。答えもその単位です。像距離を求めるなら、数値を入れる前に変形します。

1di=1f−1do,di=fdodo−f.\frac{1}{d_i}=\frac{1}{f}-\frac{1}{d_o}, \qquad d_i=\frac{fd_o}{d_o-f}.

光が入る側にある通常の実物体について、ここでは実像を正とする取り決めを使います。

量正負
dod_o実物体。ここでの全例に該当虚物体。このガイドでは扱わない
ff凸レンズ凹レンズ
did_i反対側の実像物体側の虚像

授業によっては、位置の符号に異なる直交座標の取り決めを使います。計算の途中で別の取り決めの符号を混ぜないでください。授業の式が違うなら、そこでの定義を一貫して使います。物理的な問いは同じです。光はどちらへ進み、どこで交わり、像はどちら向きでしょうか。

計算例:凸レンズでできる実像

凸レンズの前方 30 cm30\ \mathrm{cm} に物体を置きます。焦点距離は f=+10 cmf=+10\ \mathrm{cm} です。物体は焦点より遠いので、反対側に実像ができると予測できます。do=+30 cmd_o=+30\ \mathrm{cm} を代入します。

1di=110−130=230=115 cm−1.\frac{1}{d_i}=\frac{1}{10}-\frac{1}{30} =\frac{2}{30}=\frac{1}{15}\ \mathrm{cm^{-1}}.

したがって di=+15 cmd_i=+15\ \mathrm{cm} です。正号はレンズの反対側を示します。元の式へ代入して 1/10=1/30+1/151/10=1/30+1/15 と確かめられます。図では平行な光線が遠い側の焦点を通るよう屈折し、中心を通る光線と交わります。実像なので、その面に置いた理想的なスクリーンに集まる光を受けられます。

像は小さく、倒立しています。推測で終えず、倍率を計算しましょう。

倍率は向きと大きさを分けて読む

同じ取り決めで、符号付きの横倍率は

m=hiho=−dido,m=\frac{h_i}{h_o}=-\frac{d_i}{d_o},

です。hoh_o と hih_i は主軸から測った物体と像の高さです。mm が負なら倒立、mm が正なら正立です。絶対値 ∣m∣|m| は像の高さの倍率で、長さではなく単位もありません。

最初のレンズでは m=−15/30=−0.50m=-15/30=-0.50 です。高さ 4.0 cm4.0\ \mathrm{cm} の物体なら hi=(−0.50)(4.0)=−2.0 cmh_i=(-0.50)(4.0)=-2.0\ \mathrm{cm} です。負号は像の上端が主軸より下にあることを示し、高さの大きさは 2.0 cm2.0\ \mathrm{cm} です。負の符号付きの高さを、物理的なサイズが負だと説明しないでください。

計算例:拡大された虚像

焦点距離 f=+12 cmf=+12\ \mathrm{cm} の凸レンズを使い、物体を 8.0 cm8.0\ \mathrm{cm} に近づけます。do<fd_o<f なので、出ていく光線は広がります。後ろへ延長すると物体側で交わります。計算前に di<0d_i<0 と予測できます。

1di=112−18=−124 cm−1,di=−24 cm.\frac{1}{d_i}=\frac{1}{12}-\frac{1}{8} =-\frac{1}{24}\ \mathrm{cm^{-1}}, \qquad d_i=-24\ \mathrm{cm}.

虚像は物体側、レンズから 24 cm24\ \mathrm{cm} にあります。倍率は

m=−−248.0=+3.0.m=-\frac{-24}{8.0}=+3.0.

です。この理想モデルでは正立で、物体の高さの3倍です。虚像の位置にスクリーンを置いても、そこで像を作る光線の束は受けられません。位置は出射光線を後ろへ延長して得られます。これが虚像を見ることと、実像をスクリーンへ投影することの違いです。

計算例:凹レンズ

今度は焦点距離 f=−15 cmf=-15\ \mathrm{cm} の凹レンズを使います。実物体を前方 30 cm30\ \mathrm{cm} に置きます。負の焦点距離が重要です。+15 cm+15\ \mathrm{cm} を使うと別のレンズになります。

1di=1−15−130=−330=−110 cm−1.\frac{1}{d_i}=\frac{1}{-15}-\frac{1}{30} =-\frac{3}{30}=-\frac{1}{10}\ \mathrm{cm^{-1}}.

di=−10 cmd_i=-10\ \mathrm{cm} で、物体側に虚像ができます。倍率は m=−(−10)/30=+1/3m=-(-10)/30=+1/3 です。正立で物体の3分の1の高さです。図ではレンズから出る光線が広がり、後ろへの延長線はレンズと近い側の焦点の間で交わります。符号を保ったまま、−1/15=1/30−1/10-1/15=1/30-1/10 と式も確かめましょう。

このモデルで実物体と単純な凹レンズを使うなら、虚像、正立、縮小を予測できます。上の計算は1組の距離でその形を示し、負の ff が結果を決めます。

焦点の位置では何が起きる?

変形した式 di=fdo/(do−f)d_i=fd_o/(d_o-f) では、実物体を凸レンズの焦点距離へ近づけると分母がゼロに近づきます。ff より少し遠い側からなら did_i は大きな正の値へ、少し近い側からなら大きな負の値へ向かいます。ちょうど do=fd_o=f なら 1/di=01/d_i=0 です。理想モデルでは出射光線が平行になり、報告できる有限の像距離はありません。

do=fd_o=f を分数へ入れて、計算機のゼロ除算エラーを物理的な答えとしてはいけません。平行な光線を描き、理想モデルでは像が無限遠にあると述べます。

解いて確かめる練習問題3つ

1. 実像と高さ。 焦点距離 f=+20 cmf=+20\ \mathrm{cm} の凸レンズがあります。高さ 3.0 cm3.0\ \mathrm{cm} の実物体が 60 cm60\ \mathrm{cm} 離れています。像距離と高さを求めます。計算は 1/di=1/20−1/60=1/30 cm−11/d_i=1/20-1/60=1/30\ \mathrm{cm^{-1}} なので、di=+30 cmd_i=+30\ \mathrm{cm} です。さらに m=−30/60=−0.50m=-30/60=-0.50、hi=−1.5 cmh_i=-1.5\ \mathrm{cm} で、実像は倒立し、高さは半分です。

2. 焦点距離の内側。 凸レンズの f=+9.0 cmf=+9.0\ \mathrm{cm}、実物体の位置は do=+6.0 cmd_o=+6.0\ \mathrm{cm} です。像と倍率を求めます。1/di=1/9−1/6=−1/18 cm−11/d_i=1/9-1/6=-1/18\ \mathrm{cm^{-1}} なので di=−18 cmd_i=-18\ \mathrm{cm}、m=−(−18)/6.0=+3.0m=-(-18)/6.0=+3.0 です。像は虚像、正立、拡大です。

3. 凹レンズ。 実物体がレンズから 24 cm24\ \mathrm{cm} にあり、焦点距離は f=−12 cmf=-12\ \mathrm{cm} です。像距離と種類を求めます。1/di=−1/12−1/24=−1/8 cm−11/d_i=-1/12-1/24=-1/8\ \mathrm{cm^{-1}} なので、di=−8.0 cmd_i=-8.0\ \mathrm{cm} です。物体側なので虚像です。また m=−(−8)/24=+1/3m=-(-8)/24=+1/3 なので、正立で縮小されます。

レンズの働きは光の向きが変わることから始まります。スネルの法則のガイドでは1つの境界での屈折を説明します。レンズの計算と像の種類を練習するなら、Physics Zenの幾何光学のトピックを試しましょう。A-Level Physics、Abitur Physik、Bac physiqueのガイドでは、光学をより広い学習計画の中に位置付けています。

よくある質問

虚像の像距離は負ですか?
このガイドで使う、実像を正とする符号の取り決めでは負です。像距離が負なら、像は光が来る側、つまり物体側にあります。式に符号を入れる前に、自分の授業で使う取り決めを確認してください。
凸レンズでも虚像はできますか?
はい。実物体をレンズから焦点距離より近い場所に置きます。出ていく光線は広がり、それを後ろへ延長した線が物体側で交わり、正立で拡大された虚像になります。
倍率が負なら像は小さいですか?
いいえ。倍率の符号は向きを示し、負なら倒立、正なら正立です。大きさは絶対値を1と比べます。1より大きければ拡大、1より小さければ縮小です。
物体が焦点にあると、なぜ有限の像距離が得られませんか?
理想的な薄いレンズのモデルでは、出ていく光線が平行になります。式では1/d_i = 0となり、有限の距離に像面がなく、像は無限遠にあると言います。符号を落としたのではなく、有用な極限の確認です。