アルキメデスの原理:浮力を計算例で理解する

ふたを閉めた空のボトルをプールの水面下へ押し込みます。手にはボトルからの上向きの押し返しが感じられます。放すとボトルは浮き上がり、一部だけが水中に残ります。同じプールへ金属の鍵を落とすと沈みますが、水は鍵も上向きに押しています。違いは、その浮力が物体の重さとつり合えるかどうかです。
アルキメデスの原理は、この力の大きさを教えます。浮力は物体が押しのけた流体の重さに等しいのです。浮く物体、沈む物体、水中で支えられた物体すべてに使えます。計算で変わるのは、物体のどれだけが流体の中にあるかです。浮力の問題では、一部分しか水を押しのけていないのに物体全体の体積を使う間違いがよく起こります。
例では水の密度を 、重力加速度を とします。いずれもモデルのために丸めた値です。水の密度は一様で、物体は水を吸わず体積も変わらず、明示的に放す場合を除いて静止していると仮定します。
浮力が上を向く理由
水中の物体はすべての面から水圧を受けます。圧力は深いほど大きいので、下面を押す力は上面を押す力より大きくなります。単純で対称な場合は水平方向の力がつり合い、上向きの合力が残ります。OpenStaxの浮力の節では、この圧力による説明と、一部または全部が沈んだ物体についてのアルキメデスの原理を扱っています。
同じ結果を別の図で考えることもできます。物体を頭の中で取り除き、その場所に押しのけられた水を戻してください。周囲の水圧がその水を支えます。再び物体に替えても、周囲の水は占められた体積に同じ上向きの支えを与えます。したがって上向きの力は、押しのけた水の重さに等しくなります。物体自身の重さは、その支えで浮けるかを決めます。浮力が存在するかどうかを決めるわけではありません。
密度が一様な流体では、押しのけた流体の質量は です。 を掛けて重さを求めると、
となります。単位からも式を確認できます。 です。浮力はニュートンで測る力であり、キログラムで測る質量ではありません。UC Santa Barbaraのアルキメデスの原理の実験では、この式を示し、水中の球をつるしたばねばかりの値の減少と集めた水を比較しています。
式に入れる体積はどれか?
使うのは押しのけた流体の体積です。流体が物体を通り抜けないなら、流体内にある物体の部分の体積と正確に一致します。
- 固体が完全に水中にあれば、押しのけた体積は物体の外側全体の体積です。
- 一部が水面上に出て浮いているなら、水中にある部分だけの体積です。
- 物体を少しずつ水へ入れるなら、完全に沈むまで、入った部分が増えるにつれて押しのける体積も増えます。
浮力を直接計算する式には、物体の質量や密度は必要ありません。それらが必要なのは浮力と重さを比べたり、浮く位置を求めたりするときです。水面の線を描き、その下の体積だけを使いましょう。
計算例:水中で支えられた、沈む物体
質量 、外側の体積 のコンパクトな物体を考えます。細いばねばかりのフックにつけて完全に水へ沈め、底には触れないようにつるします。空気中の重さを とするとき、空気による小さな浮力は無視します。
重さは
です。完全に沈んでいるので、 の水を押しのけます。浮力は
です。重力は依然として で下へ引き、水は で上へ押します。残りの上向きの力をばねばかりが負担するため、表示は
です。これが、水中につるされた物体の見かけの重さです。NASAの浮力の教材でも、単位系は異なりますが同じ力の引き算を使います。物体の質量が減ったわけではありません。水が重さの一部を支えています。フックを外せば、重さが浮力より大きいので下へ加速します。底に着けば接触による力が増え、つるした状態のばねばかりの式だけでは力のつり合いを表せません。
浮くかを判断する前に力を描く
自由物体図の描き方は、ここで特に役立ちます。物体に働く力だけを描きます。つるされた物体には、下向きの重さ 、上向きの浮力 、上向きのばねばかりの張力 があります。静止していれば です。ばねばかりから外したら を消し、残った合力にニュートンの第2法則を使います。
物体が自由に浮いて静止しているなら、支えるばねばかりも底との接触もありません。重さと浮力だけがつり合います。
この等式はつり合いの結果です。水があらかじめ物体の重さを「知っている」わけではありません。同じ重さの水を押しのけるだけ物体が沈むまで、位置が変わります。荷物を加えると少し深く沈み、取り除くと上がります。ニュートンの法則のガイドでは、合力ゼロが静止や等速運動を表し、力がつり合わないと運動が変わる理由を説明しています。
計算例:物体のどれだけが水中にあるか?
全体積 で、平均密度 の密閉した物体を考えます。質量は なので、重さは
です。自由に浮かべます。静止したとき、押しのけた水の重さは のはずです。体積を解くと、
となります。したがって 、つまり物体の体積の60パーセントが水中にあります。理想モデルでは残りの40パーセントが水面上に出ます。密度の比から直接求めることもできます。
この近道は、物体が自由に浮いてつり合い、流体の密度が一様で、物体の外側の体積から平均密度を計算した場合を前提とします。ひもで支えられた沈む物体や、底に乗っている物体の沈む割合を求める式ではありません。この単純な状況で自由に浮いてつり合うなら、比が1を超えることもありません。物体の平均密度が流体より大きければ、浮いたまま支えられるほどの流体を押しのけられないからです。
今度は同じ物体を完全に水へ押し込み、その位置で保ちます。全体積 の水を押しのけるため、浮力は になります。重さは のままです。押さえる力がなければ合力は上向きに です。沈めたままにするには下へ押す必要があります。自由に浮いているときの浮力に を使ってはいけません。そのときの浮力は です。水中にあるのは だけだからです。
Physics Zenの流体のトピックでは、押しのける体積と力のつり合いを独立した内容として練習できます。まず体積を立方メートルで求め、次に力をニュートンで比べましょう。
短い問題を2つ解く
問題1。 完全に沈んだ剛体が の水を押しのけます。上と同じモデル値を使い、浮力を求めてください。答えは上向きに です。この段階では物体の質量は不要ですが、放したときに上がるかを判断するには必要です。
問題2。 密閉した物体がモデルの水に自由に浮き、その平均密度は です。体積の何割が水中にあるでしょうか。答えは 、すなわち75パーセントです。外側の体積が なら水中の体積は です。質量で確かめると、 で、モデルの水 の質量と等しくなります。
見つけておきたいよくあるミス
一部が浮いている物体に全体積を使う。 水を押しのけるのは水中の部分だけです。全体積だと決めつけず、つり合いからその部分を求めましょう。
沈むなら浮力はないと思う。 沈む物体に働く上向きの力も、かなり大きい場合があります。放したときに重さとつり合わないだけです。
見かけの重さを重力が変わったことだと思う。 物体の重さは のままです。水も上向きに支えるため、ばねばかりの表示が小さくなります。
リットルと立方メートルを混同する。 1リットルは です。立方メートルあたりの密度を掛ける前に換算してください。
浮く場合の密度比を条件外で使う。 水中に固定された物体、底に支えられた物体、密度が変化する流体では実際の力のつり合いが必要です。図を描き、押しのけた体積へ戻りましょう。
よくある質問
浮力は深いほど増えますか?
密度が一定のこのモデルでは、完全に沈んだ剛体をさらに深くしても押しのける体積は変わらず、 も同じです。物体を水へ入れている途中なら、水中の体積が増えるため浮力も増えます。圧縮される物体や、深さで密度が変わる流体など、条件が違えば別の分析が必要です。
重い船が浮き、小さな金属の鍵が沈むのはなぜですか?
重さだけでは決まりません。船体は空間を囲み、その体積を含めた平均密度が十分低いため、水面が船体上部に達する前に自重と同じ重さの水を押しのけられます。密度の高いコンパクトな鍵は、完全に沈んでも、重さとつり合うほどの浮力を受けられません。
押しのけた水は、あふれた水と同じですか?
押しのけた体積は、物体が水を占めさせなかった空間の体積です。あふれる容器なら同じ量がこぼれることがあります。プールでは代わりに水位が上がります。浮力は押しのけた流体の重さで決まり、こぼれた水を集めたかどうかには依存しません。
よくある質問
- アルキメデスの原理とは何ですか?
- 水中などの流体に入れた物体が受ける上向きの浮力は、その物体が押しのけた流体の重さに等しいという原理です。流体の密度が一様なら、流体の密度、g、押しのけた体積を掛けて求めます。
- 沈む物体にも浮力は働きますか?
- はい。重さのほうが大きくても、流体を押しのけるので上向きの浮力を受けます。水中でつるして支えるばねばかりの値は、物体の重さから浮力を引いた値です。
- 浮いている物体の水中にある割合はどう求めますか?
- 密度が一様な流体で物体が自由に浮いてつり合っているなら、物体の平均密度を流体の密度で割ります。平均密度600キログラム毎立方メートルの物体が、密度1000キログラム毎立方メートルとした水に浮くなら、体積の60パーセントが水中にあります。

