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物理の概念

力のモーメントを直感で理解する:てこ、角度、つり合い

2026年9月22日読了まで2分
力のモーメントを直感で理解する:てこ、角度、つり合い

ドアをちょうつがいのすぐそばで押し、次に取っ手の位置で同じ強さで押してみましょう。力は同じでも、回す効果は大きく違います。力は押す、または引く働きを表します。力のモーメントは、その働きが選んだ支点のまわりでどれだけ物体を回そうとするかを表します。

答えを決める問いは3つです。支点はどこか、力はどこに働くか、どちらを向くか。まずこれを確認すると、力のモーメントの公式は図を簡潔に表すものになります。

物体を回すには、力が支点から離れて働く必要がある

水平なレンチを真上から見ると想像してください。左端がボルトをつかみ、右端を柄に垂直な上向きに引きます。ボルトが支点で、柄の長さが力を有利にします。

力を変えずに手をボルトへ向けて半分の位置まで移すと、回す効果も半分になります。ボルトへ向かうか離れるか、柄に沿ってまっすぐ引けば、力の線が支点を通るため回す効果は消えます。

ここで「力の線」が役立ちます。力の矢印を両方向へ延ばし、架空の直線にします。これが作用線です。支点からその直線までの垂直距離が腕の長さで、モーメントアームとも呼びます。

同じ力なら、この垂直距離が大きいほど力のモーメントも大きくなります。長い道具が役立つのは、その長さを生かす向きに力を加えた場合だけです。

同じ計算を表す2つの公式

固定された回転軸に垂直な平面内で力が働く場合、力のモーメントの大きさは

τ=rFsin⁡θ\tau = rF\sin\theta

です。rr は支点から力の作用点までの距離、FF は力の大きさ、θ\theta は支点から外へ向かう位置ベクトルと力のベクトルのなす角です。

垂直な腕の長さ d⊥d_\perp を使うこともできます。

d⊥=rsin⁡θd_\perp = r\sin\theta τ=Fd⊥\tau = Fd_\perp

2つは同じ計算です。一方は位置ベクトルの全長と角度を使い、他方は垂直距離を直接使います。すでに垂直な腕の長さがわかっているなら、もう一度サインを掛けないでください。

OpenStaxの力のモーメントの章では、ベクトルの形 τ=r×F\boldsymbol{\tau} = \mathbf{r} \times \mathbf{F} を示しています。平面の図なら、通常は外積の各成分を計算しなくても、大きさと時計回り・反時計回りの符号で扱えます。

単位はニュートンメートルで、N m\mathrm{N\,m} と書きます。ジュールと同じ次元ですが、力のモーメントはエネルギーではありません。ニュートンメートルと呼べば、2つの量を区別しやすくなります。

計算例:垂直に引く

レンチのボルトの中心から手までの距離は 0.25 m0.25\ \mathrm{m} です。柄に対して直角に 40 N40\ \mathrm{N} の力を加えます。

θ=90∘\theta = 90^\circ なので、サインは1です。

τ=(0.25)(40)sin⁡90∘=10 N m\tau = (0.25)(40)\sin 90^\circ = 10\ \mathrm{N\,m}

同じ力を 0.10 m0.10\ \mathrm{m} の位置で加えると、

τ=(0.10)(40)=4 N m\tau = (0.10)(40) = 4\ \mathrm{N\,m}

計算前にも結果を説明できます。最初の位置は支点から2.5倍遠いため、力のモーメントも2.5倍です。

ドアの取っ手がちょうつがいから離れている理由はこれです。身近な設計が式を見える形にしています。ただし、力が大きければ常に回す効果も大きいという証拠ではありません。距離と向きも関係します。

計算例:斜めに引く

同じ 0.25 m0.25\ \mathrm{m} のレンチに 40 N40\ \mathrm{N} の力を加えます。ただし、ボルトから外へ向かう柄の方向に対して 30∘30^\circ の角度で引きます。

τ=(0.25)(40)sin⁡30∘=5 N m\tau = (0.25)(40)\sin 30^\circ = 5\ \mathrm{N\,m}

回す効果に寄与するのは、柄に垂直な成分だけです。

F⊥=40sin⁡30∘=20 NF_\perp = 40\sin 30^\circ = 20\ \mathrm{N}

この成分に柄の長さを掛けても同じ答えになります。0.25(20)=5 N m0.25(20) = 5\ \mathrm{N\,m} です。

柄に平行な成分も、物体や支持部に力を及ぼす可能性はあります。ただ、ボルトについての力のモーメントは生みません。モーメントがゼロでも力がゼロとは限りません。

図で角度がどこから測られているかを必ず確かめましょう。柄に垂直な線から測っているなら、その角度を直接 θ\theta に使えません。余角を使うか、同じ意味でコサインを使う必要があります。ベクトルを確かめずに「いつもサイン」と覚えると、正しい公式で間違った答えが出ます。

時計回りと反時計回りのモーメントは反対向き

平面の問題では、回転方向のどちらかを正に決めます。反時計回りを正にすることが多く、その場合は時計回りが負です。最初から最後までそろえれば、どちらを選んでもかまいません。

中央に支点のある水平な梁に、2つの力が働くとします。

  • 下向きの 30 N30\ \mathrm{N} の力が左側の 0.40 m0.40\ \mathrm{m} の位置に働きます。
  • 下向きの 20 N20\ \mathrm{N} の力が右側の 0.30 m0.30\ \mathrm{m} の位置に働きます。

左の力は梁を反時計回りに、右の力は時計回りに回そうとします。符号付きのモーメントは

τleft=+(30)(0.40)=+12 N m\tau_\mathrm{left} = +(30)(0.40) = +12\ \mathrm{N\,m} τright=−(20)(0.30)=−6 N m\tau_\mathrm{right} = -(20)(0.30) = -6\ \mathrm{N\,m}

です。したがって、

τnet=12−6=+6 N m\tau_\mathrm{net} = 12 - 6 = +6\ \mathrm{N\,m}

となり、合成モーメントは反時計回りです。力が上向きか下向きかだけで符号を決めないでください。ここでは両方とも下向きですが、支点の反対側に働くため、回す向きが逆になります。

つり合いには力とモーメントの両方の条件が必要

静止した梁には、並進と回転の両方のつり合いが必要です。

∑F=0∑τ=0\sum \mathbf{F} = 0 \qquad \sum \tau = 0

中央に支点のある軽い水平な梁を考えます。質量 3.0 kg3.0\ \mathrm{kg} のおもりを、左の 0.40 m0.40\ \mathrm{m} の位置につるします。右側には質量 2.0 kg2.0\ \mathrm{kg} のおもりをどの位置につるせば、つり合うでしょうか。

支点についてのモーメントを取ると、

(3.0g)(0.40)−(2.0g)d=0(3.0g)(0.40) - (2.0g)d = 0

です。両方の重さに同じ重力加速度が掛かるので、gg は約分できます。

d=3.0(0.40)2.0=0.60 md = \frac{3.0(0.40)}{2.0} = 0.60\ \mathrm{m}

質量の小さいおもりには長い腕が必要です。また支点は、2つの重さの合計に等しい上向きの力を及ぼします。その力は約 49.1 N49.1\ \mathrm{N} です。ただし g=9.81 m/s2g = 9.81\ \mathrm{m/s^2} とします。

支点の力はそこを通るため、支点についてのモーメントを生みません。支点を選ぶとモーメントの計算は簡単になりますが、支点の力が存在しないことにはなりません。

梁自体の重さが無視できないなら、重心に加えます。一様な梁を中央で支えると、その支点について重力によるモーメントはゼロです。中央以外で支えるなら結果は変わります。力を見落とさないよう、まず自由物体図を描きましょう。

力のモーメントは回転の速さではなく変化を決める

慣性モーメント II が一定で、固定された軸のまわりを回る剛体については、ニュートンの第2法則に対応する回転の式は

∑τ=Iα\sum \tau = I\alpha

です。角加速度 α\alpha は角速度がどれほど速く変わるかを表します。同じ合成モーメントでも、慣性モーメントが大きいと角加速度は小さくなります。

例えば、合成モーメント 6 N m6\ \mathrm{N\,m} が I=2 kg m2I = 2\ \mathrm{kg\,m^2} の物体に働くと、

α=62=3 rad/s2\alpha = \frac{6}{2} = 3\ \mathrm{rad/s^2}

です。この前提では、合成モーメントがゼロなら角加速度もゼロです。すでに回転している物体は、一定の角速度で回り続けられます。ニュートンの法則でも、合力ゼロは速度ゼロを意味しません。

力のモーメントは円運動で扱う中心向きの力とも異なります。中心へ向かう力は、その中心についてのモーメントがゼロでも、速度の向きを変えて物体を円軌道に保てます。

力のモーメントを解くための確実なチェックリスト

支点を選び、外力をすべて描きます。各力の作用線を確認し、垂直な腕を測るか rsin⁡θr\sin\theta を使います。掛け算の前にセンチメートルをメートルへ換算します。各力が物体を回そうとする向きから符号を決め、それからモーメントを足します。

つり合いではモーメントだけでなく力も確かめます。角加速度を求めるなら、∑τ=Iα\sum\tau = I\alpha を使う前に固定軸の前提を確認します。最後に極限も試しましょう。作用線が支点を通る力は、モーメントがゼロになるはずです。

Physics Zenの剛体の回転のトピックでは、力のモーメントと慣性モーメント、回転の運動の法則をiPhoneとAndroidで無料で練習できます。最後の回転のエネルギーと角運動量だけがPremium対象です。まず図で幾何を描く練習をしましょう。速く掛け算することより、腕の長さを正しく取ることのほうが大切です。

よくある質問

力のモーメントを簡単に言うと何ですか?
選んだ点や軸のまわりで、力が物体を回そうとする働きの大きさです。力の大きさ、作用する位置、向きで決まります。力の作用線が支点を通る場合、その支点についてのモーメントはゼロです。
支点からの距離と腕の長さはどう違いますか?
位置ベクトルの長さrは支点から力の作用点までの距離です。腕の長さは、支点から力の作用線までの垂直距離です。その長さはr sin θで、θは位置ベクトルと力のなす角です。
合成モーメントがゼロなら、物体は回転していませんか?
いいえ。固定軸のまわりで回る剛体の慣性モーメントが一定なら、合成モーメントがゼロということは角加速度がゼロという意味です。静止したままのことも、一定の角速度で回り続けることもあります。静止したつり合いには合力もゼロである必要があります。

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