電位と電場の違い:高さ、傾き、電荷で理解する

山の上の2地点はどちらも標高が高くても、その間の地面はほとんど平らかもしれません。別の地点は標高がずっと低くても、急な斜面の途中にあるかもしれません。高さと傾きは、同じ地形の異なる特徴を表します。
電位と電場の関係もこれに似ています。電位は各場所での値を与えます。電場は、移動するとその値がどう変わるか、最も急に下がる向きも含めて教えてくれます。電位が高いからといって、必ず電場が強いわけではありません。
ここでは静電気、つまり時間とともに変化しない電荷と電場を扱います。この条件では、1つの電位の分布から電場全体を求められます。
4つの量と、役立つ2組の対応
まず、特定の電荷が受ける量から考えます。その電荷には電気力 が働き、周囲の電荷の配置によって静電気力による位置エネルギー を持ちます。
それぞれを試験電荷 で割ると、
となります。電場 と電位 は、その場所の環境を表します。別の小さな試験電荷を置けば力とエネルギーは変わりますが、環境そのものは変わりません。ただし、試験電荷が元の電荷の配置を大きく乱さない場合に限ります。
| 量 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 電気力 | 特定の電荷に働く押す力、または引く力 | ニュートン、N |
| 電場 | 電荷あたりの力 | N/C、V/mと等価 |
| 静電気力による位置エネルギー | 電荷の位置に伴うエネルギー | ジュール、J |
| 電位 | 電荷あたりの位置エネルギー | ボルト、V、J/Cと等価 |
電場はベクトルなので、向きも答えの一部です。電位はスカラーで、正負を持つ値ですが向きはありません。OpenStaxの電位の導入では、エネルギーと電荷あたりのエネルギーの違いを説明しています。
クーロンの法則のガイドでは、元の電荷が力と電場をどう生み出すかを説明しています。電位を使えば、同じ問題に別の道筋から取り組めます。
電圧は2地点を比べる量
電圧は電位差です。
電荷がAからBへ移動するとき、位置エネルギーの変化は
です。 の電荷が10 Vの地点から4 Vの地点へ動くとします。電位の変化は なので、
となります。位置エネルギーは18マイクロジュール減少します。電場は電荷に対して18マイクロジュールの正の仕事をします。電気力だけが仕事をするなら、運動エネルギーはその分だけ増えます。仕事とエネルギーのガイドと同じ考え方で収支を計算できます。
ゼロの基準を別の場所にしても、どちらの結果も変わりません。両方の電位に100 Vを足すと、電荷は110 Vから104 Vへ動き、やはり6 Vの低下です。「この地点は10 V」という表現には、常に基準点が必要です。
電場は電位の下り坂の傾き
1つの座標方向では、静電気における関係は
です。マイナス記号は向きを表し、電場は電位が下がる方向を向きます。テキサス大学のRichard Fitzpatrickによる講義ノートでは、仕事とエネルギーからこの関係を導いています。電場が一様なら、微分を使わずに考えられます。電位の変化を距離で割り、符号を反転させます。
電位が で18 V、 で6 Vまで一定の割合で下がるとします。
正の符号は、電場がx軸の正方向を向くことを示します。同じ4 cmで電位の低下が3 Vだけなら、電場は75 V/mです。重要なのは1メートルあたりの低下量です。
簡便な式 は、電場が一様で、その方向に沿って距離を測ることを前提とします。大きな平行板の間なら、端から離れた場所で有用な近似になります。点電荷の周りでは、電場は距離とともに変化します。したがって、ある有限の距離にわたる電位差を距離で割って得られるのは、その経路に沿った平均であり、すべての点での電場ではありません。
電位が変化する場合の微分を使う式と3次元への拡張は、OpenStaxの電位から電場を求める章で確認できます。
負の電荷では力の向きが逆になる
電場の向きは、正の試験電荷を使って定義します。どの電荷に働く力も
です。 が負なら、力の向きは逆になります。上の300 V/mの電場に の電荷を置くと、
の力を受けます。電気力は、電位がより高いx軸の負方向を向きます。これは位置エネルギーが増えるという意味ではありません。 の増加に負の電荷を掛けると、 は減少します。
運動については正確に区別しましょう。力が決めるのは加速度であり、粒子がすでに動いている方向ではありません。負の電荷を電位が低い方向へ投げ出せば、その方向へ進みながら減速することがあります。「負の電荷は坂を上る」という言い方が示すのは力の向き、または静止状態からの初期加速度であって、あらゆる軌道ではありません。
電位ゼロと電場ゼロは別のこと
大きさが等しい2つの正の点電荷を一直線上に置きます。中点では、それぞれの電場は大きさが同じで向きが反対なので、合成電場はゼロです。無限遠を電位ゼロとすると、両方の電荷が正の電位をつくり、電位は足し合わされます。その中点では電場がゼロでも電位は正です。
次に、片方を同じ大きさの負の電荷に替えます。中点では正負の電位が打ち消し合います。しかし、両方の電場は正の電荷から負の電荷へ向くため、打ち消し合わずに加算されます。
この2例はよくある誤りを示しています。電場の大きさを、スカラーである電位と同じように足してはいけません。電場を合成するときは向きを、電位を合成するときは代数的な符号を考えます。
ある1点で電場がゼロでも、その周囲全体で電位が一定とは限りません。丘の斜面に局所的に平らな場所があるように、変化する分布の停留点かもしれません。
等電位面は等高線のようなもの
地形図では、同じ等高線上の点は標高が等しくなります。等電位面上の点は電位が等しくなります。
その面に沿って電荷を動かしても、静電気力による位置エネルギーの変化はゼロです。電場が存在していても、その移動に対して電場は仕事をしません。電場がゼロではない場所では、電場は等電位面と直角に交わります。
等高線の間隔が狭いほど電場が強いと言えるのは、隣り合う線が等しい電位差を表している場合だけです。電圧の間隔がそろっていない図では、線の間隔を比べる前にラベルを確認してください。
問いに合わせて式を選ぶ
力を求める? 電荷の位置での電場を求め、符号付きの電荷を掛けます。向きも示してください。
エネルギーや速さを求める? 電位差から を求めます。ほかの力も仕事をするなら、その寄与も含めてから、エネルギーの変化を速さに換算します。
電位のグラフがある? 傾きからグラフの座標方向の電場成分を求めます。グラフが高いことと、傾きが急なことは別です。
回路の問題? 節点間の電位差を追います。直列回路と並列回路のガイドでは、経路に沿って電圧の変化を足し合わせる理由と、並列枝が同じ2つの端点を共有する理由を説明しています。
Physics Zenで練習するときは、問題の横に「電場、力、電位、エネルギー」の4列を作りましょう。数値を代入する前に、適切な列へ単位を書きます。この小さな整理で、符号ミスや電荷の掛け忘れを見つけやすくなります。
よくある質問
- 電位と電場はどう違いますか?
- 電位は単位電荷あたりの位置エネルギーで、単位はボルトです。電場は単位電荷あたりの力で、単位はニュートン毎クーロンまたはボルト毎メートルです。電位はスカラー量ですが、電場には大きさと向きがあります。
- 電圧と電位は同じですか?
- 電圧は通常、2点間の電位差を指します。ある点が12ボルトだという表現には、電位をゼロと定めた基準点が必要です。基準を変えても、電場や電位差は変わりません。
- 電位がゼロでも電場がゼロではない場合はありますか?
- あります。大きさが等しく符号が反対の2つの点電荷の中点では、無限遠を電位ゼロとすると両者の電位は打ち消し合います。一方、電場は同じ方向を向くため加算されます。
- 負の電荷は電位が高いほうへ動きますか?
- 負の電荷が受ける電気力は電位が高い方向を向きます。静止状態から放し、電気力だけが働くなら、最初はその方向へ加速します。電荷が負なので、位置エネルギーは減少します。
- 電場を電圧÷距離で求められるのはいつですか?
- 電場が一様で、距離を電場の方向に沿って測る場合、電場の大きさは電位差の絶対値を距離で割って求められます。任意の電圧と距離から、一般の位置における局所的な電場を求める式ではありません。


