Physics Zen
物理の概念

単振動を直感で理解する:往復運動が繰り返される理由

2026年9月20日読了まで2分
単振動を直感で理解する:往復運動が繰り返される理由

ばねにつけたおもりをつり合いの位置から引き離して放します。ばねはおもりを元へ引き戻しますが、おもりは中心で止まりません。速さを持って通り過ぎ、ばねを縮め、今度は反対向きの力を受けます。

この繰り返しが単振動です。サインやコサインを使う式でも表せますが、出発点は式ではありません。つり合いの位置へ常に向かい、その位置からの距離に比例して大きくなる力が出発点です。

つり合いの位置が運動の中心

つり合いの位置は、合力がゼロになる場所です。理想的な水平ばねでは、そこを x=0x = 0 とします。右へ伸ばせば変位は正、左へ縮めれば負です。

フックの法則は次のとおりです。

F=−kxF = -kx

ばね定数 kk はばねの硬さを表します。負号は、力が変位と逆向きであることを示します。おもりがつり合いの位置より右にあれば力は左、左にあれば力は右を向きます。

ニュートンの第2法則から、

a=−kmxa = -\frac{k}{m}x

となります。この関係が運動の形を決めます。加速度は変位に比例し、つり合いの位置へ向かいます。ニュートンの法則のガイドは力の考え方を説明し、単振動は線形な復元力を受けるときの予測です。

OpenStax University Physicsでもフックの法則から同じ関係を導き、ばねとおもりの周期を求めています。この導出から、理想化したモデルがどこから始まるかわかります。

繰り返す運動がすべて単振動とは限りません。跳ねる球は動きを繰り返しますが、その加速度は中心のつり合いの位置からの変位に比例しません。実際の振動子も、復元力が線形でなくなるか減衰が強いと、単振動からずれます。

おもりがつり合いの位置を通り過ぎる理由

右端では変位は +A+A です。AA は振幅で、ばねの力と加速度は左を向き、おもりは一瞬止まっています。

中心へ進む間に速さが増します。つり合いの位置ではばねの力と加速度がゼロですが、速さは最大です。一瞬力がゼロでも速度はゼロではありません。慣性でおもりは中心を通り過ぎます。

中心を越えると変位は負になります。復元力は今度は右を向き、おもりを −A-A で止まるまで減速させます。その後、動きが反転します。

次の対応を覚えておくと便利です。

  • x=±Ax = \pm A では速さはゼロ、加速度の大きさは最大。
  • x=0x = 0 では速さは最大、加速度はゼロ。
  • その間では変位、速度、加速度が連続して変わる。

加速度は必ずしも速度と逆向きではありません。おもりがつり合いの位置へ向かう間は同じ方向で、速さが増します。通り過ぎたあとは反対向きになり、速さが減ります。

コサインの式は振動の時計になる

振動子を正の最大変位から静止状態で放すと、位置は

x(t)=Acos⁡(ωt)x(t) = A\cos(\omega t)

と書けます。角振動数 ω\omega は、周期の中をどれほど速く進むかを示します。より一般的な初期条件では位相定数が必要です。

x(t)=Acos⁡(ωt+ϕ)x(t) = A\cos(\omega t + \phi)

位相 ϕ\phi は、時間を数え始めるときに周期のどの位置にいるかを決めます。振幅や繰り返す速さは変えません。

位置を微分すると速度と加速度が得られます。

v(t)=−Aωsin⁡(ωt+ϕ)v(t) = -A\omega\sin(\omega t + \phi) a(t)=−Aω2cos⁡(ωt+ϕ)=−ω2x(t)a(t) = -A\omega^2\cos(\omega t + \phi) = -\omega^2x(t)

最後の等式は、加速度が変位に比例し、反対向きになるという単振動の定義に戻っています。

最大値の大きさは式から直接得られます。

vmax⁡=Aωv_{\max} = A\omega amax⁡=Aω2a_{\max} = A\omega^2

位置、速度、加速度は別々の3つの運動ではありません。同じ周期を、位相のずれた3つの側面から見ています。

周期、振動数、角振動数

周期 TT は1回の振動にかかる時間で、振動数 ff は1秒あたりの振動回数です。

f=1Tf = \frac{1}{T}

角振動数は、同じ繰り返しの速さをラジアン毎秒で表します。

ω=2πf=2πT\omega = 2\pi f = \frac{2\pi}{T}

理想的なばねとおもりでは、

ω=km\omega = \sqrt{\frac{k}{m}}

です。したがって、

T=2πmkT = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}

となります。質量が大きいほどゆっくり、ばねが硬いほど速く振動します。理想モデルの周期の式には振幅がありません。おもりを遠くまで引くと力は大きくなりますが、移動する距離も長くなります。2つの効果が打ち消し合い、周期は変わりません。

ばねを使った計算例

摩擦のない面で、質量 0.50 kg0.50\ \mathrm{kg} のおもりを、ばね定数 k=200 N/mk = 200\ \mathrm{N/m} の理想的なばねに付けます。つり合いの位置から 0.080 m0.080\ \mathrm{m} 引き、静止状態で放します。

まず角振動数を求めます。

ω=2000.50=20 rad/s\omega = \sqrt{\frac{200}{0.50}} = 20\ \mathrm{rad/s}

周期は

T=2π20≈0.314 sT = \frac{2\pi}{20} \approx 0.314\ \mathrm{s}

です。正の最大変位から放したので、ϕ=0\phi = 0 となり、

x(t)=0.080cos⁡(20t) mx(t) = 0.080\cos(20t)\ \mathrm{m}

です。最大の速さは

vmax⁡=Aω=0.080(20)=1.6 m/sv_{\max} = A\omega = 0.080(20) = 1.6\ \mathrm{m/s}

です。加速度の最大の大きさは

amax⁡=Aω2=0.080(20)2=32 m/s2a_{\max} = A\omega^2 = 0.080(20)^2 = 32\ \mathrm{m/s^2}

です。2つの最大値は異なる位置で生じます。速さはつり合いの位置で1.6 m/s、加速度の大きさは両端で32 m/s²になります。

時間を追わずに同じ運動を説明するエネルギー

理想的な振動子では、ばねの弾性エネルギーと運動エネルギーが絶えず入れ替わります。

U=12kx2U = \frac{1}{2}kx^2 K=12mv2K = \frac{1}{2}mv^2

両端でおもりは止まり、力学的エネルギーはすべて弾性エネルギーです。つり合いの位置では、その位置を基準としたばねの位置エネルギーはゼロになり、運動エネルギーが最大です。合計は

E=12kA2E = \frac{1}{2}kA^2

のままです。上の計算例では、

E=12(200)(0.080)2=0.64 JE = \frac{1}{2}(200)(0.080)^2 = 0.64\ \mathrm{J}

です。任意の位置で、エネルギー保存則を使えば時間を求めずに速さを求められます。

12mv2+12kx2=12kA2\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}kx^2 = \frac{1}{2}kA^2

これが仕事とエネルギーのガイドとのつながりです。時間や位相が重要なら三角関数の式を使います。位置と速さの関係を問われ、いつその位置を通るかは不要なら、エネルギーを使うほうが簡単です。

振り子が単振動になるのは小角近似の中だけ

単振り子では、重力の成分が復元力になります。厳密な角度の式には sin⁡θ\sin\theta が含まれ、完全な線形ではありません。ラジアンで測った角度が小さければ、sin⁡θ≈θ\sin\theta \approx \theta と近似でき、運動はほぼ単振動になります。

小角の場合の周期は

T=2πLgT = 2\pi\sqrt{\frac{L}{g}}

です。質量は含まれません。理想的な小角モデルでは、同じ場所で同じ長さの振り子なら、おもりを重くしても周期は同じです。長くすると周期は長くなり、重力加速度が大きいと短くなります。

L=0.90 mL = 0.90\ \mathrm{m}、g=9.81 m/s2g = 9.81\ \mathrm{m/s^2} なら、

T=2π0.909.81≈1.90 sT = 2\pi\sqrt{\frac{0.90}{9.81}} \approx 1.90\ \mathrm{s}

です。振幅が大きいほど小角近似は悪くなり、実際の周期はこの式の値より長くなります。どんな振れの振り子も厳密な単振動だと扱わず、近似条件を示しましょう。

現実の振動子はエネルギーを失う

理想的な単振動では、系からエネルギーが出ていかないので永遠に続きます。実際の振動子には摩擦、空気抵抗、内部の損失があり、振幅は時間とともに減ります。これが減衰です。

外から周期的な力を加えれば、失われるエネルギーを補い、振動を保てます。その振動数が系の固有振動数に近づくと、応答が大きくなることがあります。これが共振です。減衰は応答の増大を抑え、どれほど鋭く増えるかも変えます。

振動数の別の使い方として、ドップラー効果の公式のガイドでは音源と聞き手が動くときに聞こえる音を比べています。

これらの効果は基本モデルを広げるもので、基本を無意味にするものではありません。まずつり合いの位置、復元力、固有振動数、エネルギーの交換を見つけます。問題に含まれるなら、次に減衰や周期的な外力を加えましょう。

問題を解くための確実な順序

まずつり合いの位置と正の向きを決めます。変位はつり合いの位置から測り、ばねの自然長からと決めつけないでください。鉛直につるしたばねでは重力がつり合いの位置をずらしますが、理想モデルではその位置のまわりの振動周期は同じばねとおもりの式で求められます。

次に何を問われているか判断します。繰り返す速さなら周期の関係を使います。ある時刻の位置なら初期条件から正しい位相を選びます。ある位置での速さならエネルギーを使うのが手早い場合が多くなります。

最後に物理的な形を確かめます。加速度はつり合いの位置へ向くはずです。速さは両端でゼロ、中心で最大になるはずです。硬いばねなら周期は短く、質量が大きいなら長くなるはずです。

Physics Zenの単振動のトピックでは、ばね、振り子、単振動のエネルギーを練習できます。公式より先に物理的な図を思い浮かべましょう。変位が復元力を生み、物体はつり合いの位置を通り過ぎ、エネルギーが形を変えながら同じ周期を繰り返します。

よくある質問

どんな運動が単振動ですか?
復元力と、それによる加速度が、つり合いの位置からの変位に比例し、その位置へ向かう場合に単振動となります。一次元では F = -kx または a = -ω²x と書きます。負号が向きを、比例関係が繰り返す正弦波状の運動を示します。
単振動で速さと加速度が最大になる位置はどこですか?
速さは、変位がゼロで蓄えられた位置エネルギーが最小のつり合いの位置で最大です。加速度の大きさは、変位の大きさが振幅に等しく速さがゼロになる両端で最大です。加速度は常につり合いの位置を向きます。
振幅が変わると単振動の周期も変わりますか?
フックの法則に従う理想的なばねでは、周期は振幅に依存しません。単振り子でも小さい角度に限れば、おおよそ振幅に依存しません。実際のばね、大きな振れ、摩擦、その他の非線形な効果があると、周期が振幅に依存することがあります。
周期、振動数、角振動数はどう違いますか?
周期 T は1回の振動にかかる時間です。振動数 f は1秒あたりの回数なので f = 1/T です。角振動数 ω は位相の進む速さをラジアン毎秒で示し、ω = 2πf = 2π/T です。同じ繰り返しの速さを異なる単位で表します。
振り子の運動が単振動に近いだけなのはなぜですか?
接線方向の復元力は厳密には θ ではなく sin θ に比例します。ラジアンで測った角度が小さいとき、sin θ は θ に近似でき、式が単振動の形になります。振幅が大きいほど近似は悪くなり、実際の周期は小角近似の公式で予測した値より長くなります。

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