物理の間違いに見えて、実は数学のミスである7つの例

誤答のあとで解説を開き、自分の解き方とどこで分かれたか見てみましょう。自由物体図は正しく、式も合っています。しかし次の1行で摩擦力の符号が逆になったり、負の時刻をそのまま残したり、答えがちょうど3.6倍大きくなったりします。
それらは物理のミスではなく、物理の問題の中で起きた数学のミスです。対処法が違うため、この区別は大切です。力についての章を読み直しても、 を、本来 を使う場所に書くミスは直りません。
以下では、Physics Zenの解説でよく見る7種類の数学のミスについて、答案での現れ方、見つける短い確認、練習すべき技能を示します。数学の練習先として、姉妹アプリのMath Zenも挙げます。Physics Zenが物理で行うのと同じように、各技能の新しい問題を生成します。
1. 符号のミス:向きを決めて守る
球を で上向きに投げます。上向きを正とすると、下りを含む全区間で加速度は です。2秒後の速度は
です。負号は情報です。球が下向きに動いているという意味で、「減速中」という意味ではありません。間違いだと思って負号を消してはいけません。
符号のミスは、問題の途中で正の向きを変えたり、負の数を小さい正の数のように扱ったりすると起きます。確認は単純です。用紙の上に軸の正方向を書き、すべての符号をその向きに照らして読みます。反対を向く量は負で、後の行でも負のままです。
同じ習慣は、ドップラー効果の計算例で分子と分母の符号がずれることも防ぎます。
基礎にあるのは負の数の計算です。Math Zenの負の数のガイドでは最初から学べます。練習したらPhysics Zenの無料の運動学の自由落下へ戻りましょう。どの問題でも の符号が大切です。
2. 分数や2乗を含む式の変形
向心加速度は です。速さを求めるときに として終わってしまう答案があります。正しくは を掛け、それから平方根を取ります。
運動エネルギー でも同じで、速さは です。2という係数や平方根を忘れるのは、代数のミスです。
与えられた数値と求めた答えを元の式に代入して確かめましょう。両辺が合わなければ変形が間違っています。20秒ほどででき、多くのミスを見つけられます。
式の変形はMath Zenの代数のトピックで練習でき、代数のガイドでは各段階がなぜ許されるかを説明します。物理では円運動と仕事とエネルギーで、この2種類の変形をよく使います。
3. 成分のサインとコサインを取り違える
角度 の斜面では、斜面に沿う重力の成分は 、斜面へ押し付ける成分は です。逆にすると、自由物体図が正しくても、垂直抗力、摩擦力、加速度がすべて間違います。
規則は、既知の角に隣り合う成分にはコサイン、向かい合う成分にはサインです。斜面では、斜面の下の角度と、重力のベクトルと面に垂直な向きのなす角が等しいため、垂直方向の成分がコサインになります。
極限で確かめましょう。 とすると平らな面なので、物体を面に沿って引く成分はないはずです。 で、サインなら合います。もし斜面に沿う成分に を使っていたら、平らな面でも横向きに 全部が働くことになり、不合理です。まだ迷うなら でも同じ確認をします。
これは直角三角形の三角法で、それ以上に難しい内容ではありません。Math Zenの三角法のガイドでは、サインとコサインを円上の座標として示し、隣・向かいの規則をわかりやすくします。三角法のトピックで練習したら、運動の法則の斜面問題に戻るか、物理の文脈をニュートンの法則のガイドで確認しましょう。
4. 二次方程式と捨てる解
石を で上向きに投げます。場所は水面から 高い橋の上です。水に当たるのはいつでしょうか。上向きを正、橋を原点に取ると、
です。 についての二次方程式です。解の公式から、およそ と が得られます。負の解は数学的に間違いではありません。同じ放物線をたどる石が、投げる前に上昇しながら水面の高さを通った時刻です。物理的には除きますが、代数では先に両方を求める必要があります。
ここでは解の公式の符号、 を の代わりに使うこと、平方根の中の計算が失敗の原因になります。選んだ解を元の式に代入し、丸め誤差の範囲で になるか確かめましょう。
Math Zenの二次方程式のガイドでは公式の由来を説明し、代数のトピックで新しい問題を生成します。Physics Zenでは無料の運動学で、時間を求める投射問題にこの方法を使います。放物運動の計算例の崖からの投射も同じです。
5. 単位、接頭辞、10の累乗
時速 の車が で止まります。速さに をそのまま使うと、減速度は となり、運転者がフロントガラスへ投げ出されそうな値です。 に換算すれば、もっともらしい です。
で割るのは物理の暗記事項ではありません。1キロメートルあたり メートルを、1時間あたり 秒で割る、比の問題です。同じ類のミスには、センチメートルをメートルに換算したのに面積では係数を2乗し忘れることや、指数の数字が大きく見えて を大きな数として読むことも含まれます。
確認は現実的な大きさです。普通の車の加速度が を超える、投げた球の速さが音速を超える、テニス球のエネルギーが数百万ジュールになるなら、単位を間違えた可能性があります。物理の概念を疑う前に倍率を探しましょう。
Math Zenの比と比例のガイドと指数のガイドは両面を扱い、算数のトピックで練習できます。Physics Zenで最初に無料で使える等速運動では、ほとんどの問題でkm/hの換算が出ます。
6. グラフ:傾きは高さではない
速度と時間のグラフでは、傾きが加速度で、線と時間軸の間の面積が変位です。「加速度が最大なのはいつか」に対して、線の最も高い場所を答えるミスがあります。最も高い場所は速度が最大の場所で、加速度が最大なのは線が最も急な場所です。
もう1つは面積の符号を無視することです。時間軸の下の面積は負の変位です。線が軸の上から下へ移るグラフでは、移動距離が大きくても変位がゼロになることがあります。
確認するには、答える前に傾き、高さ、面積のどれを問われているか声に出して言い、それを求めましょう。簡単すぎると思うかもしれませんが、有効です。
物理と切り離して傾きと面積を読む練習は、Math Zenのグラフ解析のトピックでできます。次に運動学のガイドで、傾きと面積がこれらの物理的な意味を持つ理由を確認しましょう。
7. 未知数2つに式が1本
弾性衝突では運動量と運動エネルギーの両方が保存されるため、衝突後の2つの速度について2本の式が得られます。電池2つの回路では閉路の法則を2回書きます。キルヒホッフの節点・閉路の法則のガイドに計算例があります。投射問題では、滞空時間を共有する水平と鉛直の式があります。
誤りは、未知数が2つある1本の式を解こうとしたり、使ったばかりの同じ式へ代入したりすることです。未知数と独立した式を数え、一致してから解き始めましょう。
これは連立方程式です。Math Zenの代数のトピックにある連立一次方程式で練習できます。Physics Zenでは運動量と衝突と電気回路に現れ、運動量のガイドでは衝突に2本の式が必要な理由を示します。
解決法:短い数学の寄り道をしてから物理へ戻る
下の表では、ミス、それに対応する数学の技能、数学を固めたあとに戻る物理のトピックを並べます。
| ミス | 練習する数学の技能(Math Zen) | 戻る物理のトピック(Physics Zen) |
|---|---|---|
| 符号を落とす、逆にする | 負の数 | 運動学、自由落下 |
| 分数や2乗の変形を誤る | 式の変形 | 円運動、仕事とエネルギー |
| サインとコサインを逆にする | 三角法、ベクトル | 運動の法則、斜面 |
| 二次方程式の解や公式を誤る | 方程式の解法 | 運動学、投射 |
| 単位や10の累乗を換算しない | 比、累乗、平方根 | 等速運動、万有引力 |
| 傾きを高さとして読む | グラフ解析 | 運動学のグラフ |
| 未知数2つに式1本 | 連立一次方程式 | 運動量、電気回路 |
有効な手順は短いものです。解説で数学の1段階を間違えたとわかったら、その技能について新しい問題を10分間解き、同じ物理トピックの問題をさらに3問解きましょう。すでに理解している理論を読み直す必要はありません。
Math ZenはPhysics Zenと同じチームが作り、問題生成、即時採点、詳しい解説という同じ学習の流れを使います。iPhoneとAndroidで利用できます。Math Zenのブログには、ミスの種類ではなく物理トピック別に構成した、この記事と対になる物理に必要な数学があります。
符号を1つ落としたからといって、力を理解していないわけではありません。小さな技能を5分だけ個別に練習する必要があるということです。そうすれば、すでに理解している物理で点を取れるようになります。
よくある質問
- 概念は理解しているのに物理の問題を間違えるのはなぜですか?
- 失点の多くは、物理的な設定が正しいあとに起きます。式の変形ミス、符号の落とし、コサインを使う場所にサインを使う、単位を換算しない、といった場合です。代数や三角法のミスなので、数学の技能を別に練習すると改善できます。
- 成分を求めるとき、サインとコサインはどう選びますか?
- わかっている角に隣り合う成分にはコサイン、向かい合う成分にはサインを使います。極限で確かめましょう。角度ゼロの斜面では斜面に沿う重力成分はゼロになるはずで、sin 0はゼロです。
- 放物運動の二次方程式では、どちらの解を残しますか?
- 物理的に意味がある解で、通常は投射後の正の時刻です。負の解は、説明している運動が始まる前の時刻に相当します。どちらかを捨てる前に、両方の解を正しく計算してください。
- 速度が負なら、物体は減速していますか?
- いいえ。負の速度は、選んだ座標軸の負方向への運動を示します。減速しているのは、速度と加速度の符号が反対の場合です。問題全体で軸の向きを変えず、その向きに照らして符号を読みましょう。
- 物理のためにどんな数学を練習すればよいですか?
- 式の変形、一次・二次方程式、直角三角形の三角法、累乗と科学的記数法、比と単位換算、グラフの傾きと面積の読み取りです。AP Physics 1やA-Level Physicsには微積分は必要ありません。


